乳酸菌と言えば、腸内環境を整えるために必要な善玉菌だという事は

ほとんどの人が知っていると思います

 

そんな乳酸菌商品のトップを走るのが「ヤクルト」です

 

ヤクルトが乳酸菌飲料を始めたときに、乳酸菌の種類が実は間違っていたことが発覚したのです

しかしヤクルトはその事実をひた隠しながら規模を拡大してきました

 

そんな、ヤクルト乳酸菌裏物語をご紹介しようと思います

 

ヤクルト乳酸菌裏物語

 

1950年代の日本、当時乳酸菌についての知識は現在に比べかなり乏しいものであった

 

当時、ビフィズス菌は赤ちゃんの腸内にしか生息しないと思われていました

しかし、その後の研究でビフィズス菌は大人の腸内にも生息している事が発見されたのです

 

1950年代当時、ビフィズス菌とラクトバチルス(乳酸桿菌)が知られていました

  • 桿菌とは
  • 乳酸菌には丸と棒状とらせん状があります
  • その名前が、球菌(丸)らせん菌(らせん)桿菌(棒状)

 

この、ビフィズス菌とラクトバチルスは大枠で乳酸菌と言われる括りのものですが

違うものなのです

 

ラクトバチルスは、動物の腸内に生息していた乳酸菌です

ビフィズス菌は人の腸内にいる、人由来の乳酸菌です

 

ビフィズス菌は、人由来ですので人の腸内で増殖しますが

ラクトバチルスは耐酸性があるので生きたまま腸を通過して便から検出されます

 

つまり、ラクトバチルス菌は腸内に定着しないのです

 

ラクトバチルス菌

 

この、フィルスラクトバチルスのアシド菌は当時ビフィズス菌より腸内環境を良くすると考えられていました

当時の医学の教科書でもそのように書かれているくらい、常識だったのです

 

そんな時代にヤクルトは、フィルスラクトバチルスのアシド菌を使った飲料水を作ろうを研究を始めます

そして1950年代に「ヤクルト」が誕生します

 

当時、ヤクルトは「ラクトバチルス・アシドフィルス・シロタ株」

が乳酸菌として入っていると言っていました

 

現在であれば、ビフィズス菌が人の腸内に最も良い影響があると分かっていますが

当時は、フィルスラクトバチルスのアシド菌のほうが腸内に良い影響があると思われていたのです

 

そして、ヤクルトはフィルスラクトバチルスのアシド菌を配合した飲料水を発売したのです

 

そんな中、一部の研究者からこんな声が上がっていました

 

研究者
ヤクルトに入っている乳酸菌は、ラクトバチルスではあるが、アシドフィルス菌ではないのでは?
ヤクルト
そんなことはあり得ない!君はまだ若い研究者だから見間違えたのではないのか?

 

当時のヤクルトの力がわかるやり取りですね

ヤクルトも、当時の研究者の大先生に確認したりして「アシドフィルス・シロタ株」だという事で

押し通していたのが1958年頃の話です

ヤクルトは当時本気でアシドフィルス菌だと信じていたのです

 

1960年代に入ると、学会でラクトバチルスよりもビフィズス菌のほうが人の腸内にとって良いい影響が出る

と発表されます

 

このころから、ビフィズス菌を飲料やヨーグルトに入れた製品が出だすわけですね

 

当時ヤクルトは、ラクトバチルスのアシドフィルス菌のほうが人に良いんだと信じてやってきたヤクルトを

急にビフィズス菌に変えるわけにはいきません

 

そんな中ヤクルトは1960年代半ばに、海外進出を試みようとします

海外に進出するにあたり、イギリスに菌を送って確認してもらいました

すると、シャープという分類学の研究者に指摘されてしまったのです

 

海外の分類学者
このラクトバチルスはアシドフィルス菌ではアリマセンネ
ヤクルト
えっ・・・やっべ!

 

ヤクルトに入っている乳酸菌はラクトバチルスのアシドフィルス菌ではない可能性が濃厚になってしまいます

海外進出を目指すヤクルトにとって、配合されている成分がはっきりしない事など命とり以外の何物でもありません

 

そこでヤクルトは思い出します1958年に、「これはアシドフィルス菌ではないと指定してきた若者がいたな・・・」

その研究者は当時ドイツに研究で行っており、日本に帰って来た1967年にヤクルトから連絡が来ます

 

ヤクルト
ヤクルトに入っている乳酸菌は、ラクトバチルスのアシドフィルス菌ではなく何という菌なのでしょか?
研究者
これは、アシドフィルス菌ではなく、ガゼリ菌という種類ですね

 

とうとう、ヤクルトが今まで言っていた「ラクトバチルス・アシドフィルス・シロタ株」アシドフィルス菌では無かったことを認めた瞬間なのです

 

その時に、ヤクルトは研究員に対してこのような事を言っています

ヤクルト
すぐに直しますから、黙っていてくださいね

 

当時、厚生省がつくった乳等省令という法律があり

発酵乳や乳酸菌飲料を作るときはこれを守らなければいけないという法律がありました

当時はビフィズス菌じゃなく、アシドフィルス菌かブルガリア菌を使うことを義務づけていたんです

乳酸菌と言えばアシドフィルス菌かブルガリア菌だったんです

 

なので、ヤクルトはどうしてもアシドフィルス菌である必要があったのです

 

余談になりますが、1970年代前半に明治乳業が日本で最初にプレーンヨーグルトを販売しました

ヨーグルトと言えばビフィズス菌というイメージがありますが、実はそうではありません

明治乳業が発売したヨーグルトはブルガリア菌といってラクトバチルスの仲間である菌が入っています

 

正式名称はラクトバチルス・ブルガリクス

 

100年ほど前に、イリヤ・メチニコフ(ヨーグルトの不老長寿説を唱えたロシアの生物学者)が

「ブルガリアに長寿が多いのはヨーグルトを食べているかだ!」という説を唱えています

 

これにあやかって、明治乳業は「ブルガリア菌」としてヨーグルトを売り出したのです

健康そうなイメージを先行させたのですね

 

話を戻しましょう

 

当時の日本では、発酵乳や乳酸菌飲料を作るとき、アシドフィルス菌ブルガリア菌しか認められていませんでした

しかし、ヤクルトにはアシドフィルス菌は入っていなかった

 

このままでは、乳酸菌飲料として販売出来なくなってしまう

 

そんな中、ヤクルトはトンデモない事をしてしまいます

ヤクルトの中には「アシドフィルス菌ではなくガゼリ菌が入っていた」という事実が判明したその年に

菌学会で、「ヤクルトは人腸乳酸菌で作っている。アシドフィルス・シロタ株は非常に健康にいい」と科学映画まで上映してしまったのです

 

これに激怒したのが、「ヤクルトに入っているのは、アシドフィルス菌ではなくガゼリ菌だ!」と言った研究者です

 

黙っておいてくれと言われたから黙っていてやったのに、こんな学会で嘘八百を並べた映画を上映するなんて

なんて冒涜なんだ!!!

 

研究者
今までは、知らなかった事なのでよいとしても。真実を知ってもまだ嘘をつくのは許せん!!全部ぶちまけてやる!!

 

この研究者の逆鱗に触れてしまったヤクルトは、ひた隠しにしてきた「アシドフィルス菌ではなくガゼリ菌」の秘密を

ばらされてしまいます

 

これにより、ヤクルトは法律上販売出来ない事になってしまいます

 

業界が騒然としました

 

そこで、当時権威のあった越智勇一先生が間に入って法律の改定をしたのです

 

そもそも「ガゼリ菌」だからからだに良くない訳ではありません

「アシドフィルス菌ではないのにアシドフィルス菌だと言っている事」が問題だったのです

 

なので、今までアシドフィルス菌とブルガリア菌のみが発酵乳や乳酸菌飲料に使ってよいと

されていたところを、菌の名前の縛りではなく乳酸菌と酵母を使って作ったものが発酵乳、乳酸菌飲料と呼ぶことにしようという、案を提出しました

 

これの法案が通った事でヤクルトは「ガゼリ菌を使った乳酸菌飲料」だと言えるようになったのです

そこからは「ラクトバチルス・アシドフィルス・シロタ株」ではなく「アシドフィルス・カゼイ・シロタ株」

と言うようになりましたね

私たちが効き馴染のあるのは「アシドフィルス・カゼイ・シロタ株」ですよね

 

当時の法律まで変えてしまうほどの力があるとは、ヤクルトの巨大さに驚きます

これで大手を振ってヤクルトを販売出来るようにしてしまったのですから

 

ガゼリ菌に気が付いた研究者

 

このヤクルトの間違いに日本で初めて気が付き指摘した人物こそ

「善玉菌・悪玉菌」の名付け親でもあるり

ビフィズス菌をはじめとする腸内細菌研究の世界的な権威である光岡知足(みつおか・ともたり)氏です

 

今となっては世界的に有名になった方ですが、当時は若いからと言う理由でヤクルトに話を聞いてもらえなかったのです

そして、ヤクルトに対して「ガゼリ菌」である事を教えてあげたにも関わらず

裏切られたため、告発

 

それにより、今の時代では当たり前になった「乳酸菌」と言うジャンルが確立されたのです

 

さらに光岡氏は言います

 

「生きたまま腸まで届く乳酸菌」というのがあるが、

乳酸菌は生きていても死んでいても構わないのです

 

光岡氏
生きた乳酸菌でも死んだ乳酸菌でも構わないよ

 

乳酸菌は生きたまま腸まで届かなければ、効果を発揮しないというような

風潮がありますが、実はそんなことは無いのです

 

乳酸菌には生きた菌と死菌といわれる、殺菌処理した乳酸菌があります

 

殺菌処理した乳酸菌飲料の代表がカルピスです

カルピスは死菌でも腸内に効果がある事を証明するために1970代から

死菌に関する研究を続けてきました

 

そして、死菌が腸内に入る事で善玉菌の活性化などに繋がる事を発見したのです

 

生きた菌を摂取しても胃酸や熱などで全滅してしまいます

これを問題視していたのですが、実は乳酸菌は死んでしまっても

死骸が腸まで届けば効果は同じだったのです

 

このような、問題は常に研究が進み「今日の常識が明日の常識とは限らない」

という事をしっかり知っておく必要があるという事ですね

 

参照 乳酸菌発酵,com